2月20日(日)、志賀高原横手山スキー場で日本選手権のスプリント種目が行われました。
この日のために、全てを捨てて1年間トレーニングを積み重ねてきました。
スプリントは一番得意な種目です。
と同時に、今シーズンワールドカップに出場していたメンバー5人が戻り、フルメンバーでの勝負になります。男子よりも熾烈な闘いになっています。
前日に下見をして、ワールドカップとほぼ同じ感じのレイアウトになっていて、わくわくしました。

4月ということもあって、雪質はストップスノー。
シールにワックスを塗って対策。
予選は20秒おきに1人ずつスタートです。
私の前の人が棄権したので、私だけ40秒空きました。
メンバー的に前の人に追いつけば余裕をもって決勝に行けると思っていたので、こうなったら出しすぎないように気を付けつつ、アジアカップの時のように走れるところまで走ろうと思いました。
スターターの合図がタイマーより若干早く、出しかけた足を慌ててひっこめてタイマーに合わせて出走。
フライングをするとペナルティで15秒加算されてしまうので致命的になります。
大丈夫だったかドキドキしながら走る羽目になってしまいました。
おかげで固くならずに一定のペースで走れましたが…集中できなかったです。
幸いにもペナルティを科されることはなく、危なげなく決勝に進出できました。
そして運命の決勝。
ここまできたらあとはやるだけ。
自分を信じて、今、ここ、自分に集中することだけを考えてスタートラインに立ちました。

スタートは、みんないいポジションに付こうとして飛ばしていたので、落ち着いてついていき、すぐ後ろに陣取って登りやすい右ルートを確保しました。

ツボ足ポジションまでほとんど差は無し。
ツボ足で差が開いてしまうので、ここを頑張って走りきろうと必死でした。

うまく足がはまらない箇所もありましたが何度も走ってトランジットへ。

この時点で5位まですでに最後のシール登行に入っていて差が開いていたので急いでトランジットを終わらせました。
その直後のシール登行は雪が緩んでいて、3回ほどずるっと滑り落ちてしまいました。
差はどんどん開くし心が折れかけましたが、私の応援団じゃないコース脇の方々もみんな私を応援してくれて、直線は必死で走りました。
ジグが終わった後の最後の直登がきつすぎるうえ、顔を上げるとトランジットゾーンで4位の子が滑り出し、5位の子が到着しているのを見て、ただひたすらに足を動かしました。

「ここで諦めたら一生後悔する!!」「出し切るんだ」
もう走る力は全く残っておらず足を動かすので精一杯でしたが、自分に言い聞かせて、自分ができる最大限の速さで足を動かしました。
そして最後のトランジット。
ゼイゼイ言いながら、0.1秒でも削るためにユニフォームに自分で縫い付けたポケットにシールを突っ込みました。
先がうまく入りきらずに2.3回押し込むはめになったので、ここをもう少しでも削れなかったか悔やまれます。
最後の下りでは、ポール練習や大会で教えてもらった滑り方を意識しながら、最短距離を狙い、急に曲がってスピードを殺したりしないよう板を操作しました。

ストップスノーでバランスを崩しかけましたがこらえました。
ゴール後は倒れこみ、しばらく身動きができませんでした。
出し切ったのだと思います。
私が倒れていると、一緒に決勝を走ったみんなが駆け寄ってきて、板を外してくれたり起こしてくれたり、抱き寄せてくれたりしました。
悔しさはもちろんありましたが、その瞬間は本当にうれしくて、このメンバーで闘うことができてよかったと心の底から思いました。
こうやってお互いに真剣に勝負し、終わった後たたえ合うことができるスポーツは素晴らしいと改めて実感しました。

予選は4分06秒、決勝は4分20秒で6位でした。

負けたのももちろんですが、それ以上に、あれだけ出し切ったのにタイムがかなり落ちてしまったことがショックでした。
順位を意識するあまり緊張し、予選に比べて身体がかなり固くなっていたのかもしれません。
その点で、身体は出し切ったのだろうけれども、心はもやっとしていました。
また、これだけ練習したにもかかわらず、4位までの選手たちと去年からの差が変わっていない、ということもショックでした。
良く言えば、オリンピックに向けてみんなと自分のレベルが同じくらい上がったのかなと思います。
今回のレースで、今シーズンのレースはすべて終了しました。
日本選手権または八方バーティカルで3位以内に入れば来シーズンの強化指定選手には確実に選ばれるのですが、4位が最高順位で、この3回の中で入ることはできませんでした。
シーズン前、新しく参入してくるであろう選手も想定はしていましたが、3位はいけるはず、と思っていた自分の見立てが甘かったのかもしれません。
もちろん自分に過信などは全く無く、夏からトレーナーに「このままじゃ歯がたちませんよ」と山ほど言われてきて「こんなタイムじゃ全然だめだ」と毎日必死できついトレーニングに耐えてきましたが、それでも色々足りなかったのだと思います。
応援していただいている方々には本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
5位までに入った中で有望な選手は育成選手に選ばれる可能性がありますが、経験年数と年齢的にかなり厳しい位置に立たされています。
5月下旬に協会から正式に発表があると思います。
最後まで望みを捨てずに体の準備はしておきたいので、5月はグリーンシーズンの大会に出つつ、引き続きトレーニングを積みたいと思います。